臨床精神病理グループ

メンバー(平成30年度)

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研究内容(平成29年度)

平成29年度は藤井泰先生が道立向陽ヶ丘病院院長として転出し、渡辺晋也先生が地域での研修を終えて大学に戻り、大学院に入学した。これにより、メンバーは朝倉、賀古、三井、豊島、渡辺の5名となった。

朝倉は、第113回日本精神神経学会学術総会の「神経症性障害はどこまで薬物療法で治せるのか—その限界と多角的治療の実際、そして可能性」のシンポジウムで「社交不安症はどこまで薬物療法で治せるか—その効果と限界—」を発表した。また、第37回日本精神科診断学会の「対人恐怖・社交不安症状からの診たて」のシンポジウムではオーガナイザーを担当し「種々の精神疾患にみられる対人恐怖・社交不安症状」を発表した。医療心理懇話会第2回集会では「社交不安症の臨床」を発表した。先端医学社から刊行された「社交不安症UPDATE」で「社交不安症の診断とLSAS・SATSによる臨床評価」および「社交不安症に対する国内臨床試験」の章を担当した。総説としては、「社交不安症治療における薬物療法の位置づけ」が臨床精神薬理誌に掲載された。

賀古は、当科で長年力を入れて整備してきた統合失調症患者に対する包括的な心理社会的療法(多職種チーム医療、急性期クリパス、認知リハ、集団心理教育、デイケアパスなど)について前年度に引き続き全国各地で講演し、大きな反響を得た。認知行動療法に関する取り組みも継続しており、気分障害に対する集団認知行動療法を継続し、平成28年度から科学研究費補助金を獲得している双極性障害に対する認知リハビリテーションと集団認知行動療法の有効性に関する研究を進めている。また、理事を務めている北海道認知行動療法センターにおいて、認知行動療法の基礎ワークショップを開催した。平成27年度から努めている全国摂食障害対策連絡協議会委員を継続し、摂食障害に関する講演会も行った。

三井は、前年に引き続き大学病院での臨床、研究、教育に取り組みながら、北大保健センターでの勤務を行う年となった。これまでに、北大保健センターのデータを使用した研究を行っており、今年度も第14回日本うつ病学会にて「大学生の大うつ病エピソードおよび自殺念慮の予測に関する研究」および第41回日本自殺予防学会で「うつ病エピソードおよび自傷・自殺念慮の発症脆弱性因子としての気質性格特性」の演題発表を行った。特に日本うつ病学会では、入学時の抑うつ症状および気質—性格特性が大学4年時のうつ病エピソードおよび自殺念慮の予測因子となり得るかどうかを検討した研究を発表し、現在、論文化に取り組んでいる。その一方で、気分障害グループと共同で取り組んだ研究を論文化し(「Association between suicide-related ideations and affective temperaments in the Japanese general adult population」)、PLOS ONEに掲載された。臨床では、摂食障害の治療を中心に取り組んでおり、摂食障害協会の講演会に参加したり、教室行事で症例報告する等の活動を行った。教育面では、大学院生の研究指導や研修医の卒業発表の指導などを行っている。

豊島は、双極性障害患者における主観的認知機能障害評価尺度(COBRA)日本語版の信頼性および妥当性を検討し、「Validity and reliability of the Cognitive Complaints in Bipolar Disorder Rating Assessment (COBRA) in Japanese patients with bipolar disorder.」がPsychiatry Research誌に掲載された。現在、COBRA日本語版を用いて評価した双極性障害の主観的認知機能障害、QOLおよび病識に関する論文作成を進めているところである。今後もCOBRA日本語版を用いて双極性障害における認知機能障害に関する臨床研究を継続する予定である。また、北海道漢方精神医学セミナーにおいて、「精神科領域における半夏厚朴湯の使用経験」を発表した。

平成29年4月より大学院生となった渡辺は、入院診療やリエゾンコンサルテーションなどの業務に加え、9月より外来にて再診枠を担当している。また平成18年よりうつ病の復職支援プログラム(RAP)あるいは気分障害の回復活性化統合プログラム(HIRAP)の一環として継続されている集団認知行動療法(CBGT)に関して、集積したデータを整理しつつCBGTの有効性と認知機能障害との関連について分析を進めており、論文化できるよう取り組んでいる。今後は、気分障害患者の認知機能に関する研究を行っていきたいと考えている。

グループでの仕事としては、賀古と渡辺が中心となって上述のHIRAPを継続し、今後その有効性を検証していく予定である。また、メンバー全員が精神病理クリニカルカンファレンスの世話人となっており、年間4回の症例検討会を開催し、診療技術の向上や若手医師への教育を図った。

臨床精神病理グループでは今後もさまざまな疾患を対象として精神病理学に神経心理学など多様な視点を加えた臨床研究を行い、症候学や診断学、治療学の向上に寄与できるような成果を上げていきたいと考えている。

(文責:賀古勇輝)